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L-カルニチン

腎機能

血液透析患者の貧血や低栄養改善にL-カルニチン補給は不可欠

腎不全では血液透析治療が必要です。しかし、透析を行うと体内のカルニチンが体外に流れ出てしまうためカルニチンが欠乏し、貧血や低栄養を引き起こします。このため、透析患者にはL-カルニチンの補給が必要な処置とされています。最近になってわが国においては、透析患者に対するL-カルニチンの経口・静注治療が可能となり、その効果が期待されています。久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門の深水氏らの研究グループは、血液透析患者に対するL-カルニチンの経口投与が貧血や栄養状態がいかに影響するかについて研究し、2014年にその結果を日本透析医学会雑誌で発表しました。研究の結果、カルニチンが欠乏している透析患者に対しL-カルニチンを経口で投与すると、貧血や栄養状態のみならず肝機能も改善する可能性を見いだしました。

久留米大学の研究グループは、総カルニチン50μmol/L未満の102人の血液透析患者さんを、単純無作為比によりL-カルニチン投与群と、投与を行わないコントロール群の2グループに分け、6カ月間、L-カルニチン900mgを経口投与する対照実験を行いました。6カ月後の時点で血液検査を行った結果、カルニチン投与群(23名)の患者さんにおいては、コントロール群(24名)の患者さんと比べて全てのカルニチン濃度が有意に上昇しました。

また、L-カルニチン群の患者さんは、ヘマトクリット値、総コレステロール値、中性脂肪値が有意に上昇しました。ヘマトクリットが基準値より低い場合はいわゆる血が薄い状態であるため、貧血が起こりやすくなります。今回のようにヘマクリット値が上昇したという結果は貧血の可能性が低くなったことを示すものです。また、総コレステロール値と中性脂肪値が上昇したという結果は、低栄養が改善されたことを示唆するものです。

さらに、L-カルニチン投与群の患者さんは、肝障害の指標であるAST、ALTの数値が低下しました。これはL-カルニチンの投与が肝機能の改善にもつながることを示すものです。

参考文献:
深水圭ら:血液透析患者に対する経口・静注L-カルニチン補充療法がカルニチン濃度に与える影響とその効果についての検討.日本透析医学会雑誌,Vol.47 (2014) No.6 p. 367-374