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L-カルニチン

学術情報(2) L-カルニチンの総説(海外での評価)

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海外の一般的な臨床的摂取量は、1日2~3g(L-CAR AA Basicとして8~12粒)以上のの摂取が必要な場合があります。健康状態や医薬品および他の食品(サプリメント等)との相互作用は個人差によって生じることがありますので、医師等医療従事者とご相談ください。


1.L-カルニチンの欠乏症

L-カルニチン欠乏症の原因
  • 食事における、前駆物質である必須アミノ酸であるリジンおよびメチオニンの摂取不足
  • L-カルニチンヘの生合成においてリジンの酵素が必要とする補足因子(鉄、アスコルビン酸、ピリドキシン、ナイアシン)の不足
  • 遺伝的なL-カルニチン生合成不全
  • 小腸におけるL-カルニチン吸収不全
  • L-カルニチンの生合成を損なう肝臓や腎臓における機能障害
  • 異化作用、尿細管吸収の低下、遺伝的欠陥などによる、代謝におけるL-カルニチンの減少の増加
  • L-カルニチンか生合成される組織から、最も利用される組織への輸送における欠陥
  • 高脂肪食、薬物(高痙攣剤や抗生物質のある種の薬剤など)、代謝的付加、疾患によるL-カルニチン必要量の増加
L-カルニチン欠乏症はさまざまな原因によって起こる。
L-カルニチン欠乏状態は主に次の2つのグループに分類されてきた。
  • 全身型L-カルニチン欠乏症
  • 筋型L-カルニチン欠乏症

全身型L-カルニチン欠乏症は、血清もしくは24時間尿サンプルを使い、総量、遊離、エステル化のそれぞれのL-カルニチンレベルを測定した上で診断される。筋型L-カルニチン欠乏症の場合、診断には筋生検を要する。

これまでのところ、原発性の全身型L-カルニチン欠乏症患者は特定されていない。全身型L-カルニチン欠乏症はすべて、L-カルニチン合成の不足ではなく、その他の原因によって2次的に発生している。

全身型L-カルニチン欠乏症は、骨格筋、心筋、肝臓における脂質代謝や脂質蓄積の障害が原因と考えられている。すべての患者に、脂質貯蔵ミオパシーによる進行性の筋肉脆弱が見られた。大人の場合、おそらく補助的な非ミトコンドリア酸化機序が刺激されることで、ある程度の適応が生じる。この適応は、飢餓、糖尿病、高脂肪食、その他の2次的L-カルニチン欠乏症が原因によって発生する。全身型L-カルニチン欠乏症は普通、L-カルニチンの経口摂取に劇的に反応する。

子どもの場合、大人のように低L-カルニチンレベルに適応することはできないと思われる。子どものL-カルニチン欠乏症において、ライ症候群に似た臨床像(脂質蓄積による肝機能の変化に伴う急性脳障害)を呈した症例がいくつか報告されている。

子どもにおける2次的なL-カルニチン欠乏症の臨床症状には、低血圧、成長不全、反復性感染症、脳障害、非ケトン性低血糖症、心筋症などがある。いくつかの致命的な全身型L-カルニチン欠乏症の例が報告されている。

原発性の筋型L-カルニチン欠乏症の場合、骨格筋内のL-カルニチン代謝に先天的な異常がある。異常は骨格筋内へのL-カルニチンの輸送にあるらしく、その他の組織でのL-カルニチンのレベルは正常である。その結果、深刻な脂質貯蔵ミオパシーが起こる。

L-カルニチンの補充は普通、脂質貯蔵ミオパシーにはまったく効果がない。むしろ、中鎖トリクリセリドを多く、長鎖トリクリセリドを少なくした食事による改善が報告されている。


2.L-カルニチンの臨床応用

古典杓および2次的なL-カルニチン欠乏症だけでなく、多くの疾憲症状において、L-カルニチンの投与は有益であると思われる。後述するが、L-カルニチンがL-カルニチン欠乏症状に有益である有力な裏付けとなる証拠がある。

L-カルニチンは様々なかたちのものが入手可能であるが、L-カルニチンのみ、またはそれに酢酸かフロピオン酸と結合させたものであることを必ず確認する必要がある。 D-カルニチンは決して使用してはならない(安全性の項で後述する)。どの型が最も有効であるかは、目的によって異なる。アルツハイマー病や脳に対しては、LACが最も有効と思われる。狭心症の場合、心筋はALCやL-カルニチン(LC)よりもプロビオニル-L-カルニチン(PLC)を好むため、こちらを選ぶのが最良と思われるが、日本ではL-カルニチンが医薬品としてだけではなく、2000年より効能・効果を謳わない条件で食品としても入手が可能となった。

L-カルニチンは食品として認められたが、医薬品(医療機関だけでなくOTCで販売される医薬品も含む)や他の食品(サプリメントなどいわゆる健康食品)などとの相互作用が予測されるため、医師や薬剤師など医療従事者と相談しながら摂取することが望まれる。


☆L-カルニチンの補充が有益であると思われる症状
  • 神経性食思不振症(Anorexia;拒食症)
  • 身体活動の向上(Athletic Performance;運動能力)
  • 循環器病(Cardiovascular Disease;心疾患)
  • 末梢性血管病(Peripheral Vascular Disease;末梢性血管病)
  • 心原性ショック(Cardiogenic Shock;心原性ショック)
  • 心筋症(Cardiomyopathy;心筋症)
  • 狭心症
  • 心筋梗塞(Myocardial Infarction ;心筋梗塞)
  • 不整脈 心臓壊死
  • 薬物誘発による不整脈および心毒性
  • 家族性心内膜繊維弾性症
  • 心筋症
  • 原発性僧帽弁逸脱
  • 高脂血症(Hyperlipidemia;高脂血症)
  • コレステロール値の上昇
  • トリグリセリド値の上昇
  • アルツハイマー病、老年性うつ病、加齢による記憶障害
  • ダウン症候群
  • 腎臓病と血液透析(Renal Failure/Dialysis;腎不8. 全/血液透析)
  • 糖尿病(Diabetes/Insulin Resistance;糖尿病/インスリン抵抗性)
  • 肝臓病
  • 脂肪肝(Fatty Liver;脂肪肝)/アルコール誘発性脂肪肝
  • 肝炎(Hepatitis;肝炎)
  • 肝硬変
  • 肝硬変由来の肝性脳症(Hepatic Encephalopathy from Cirrhosis;肝硬変由来の肝性脳症)
  • エイズ((HIV and Immunity;HIVと免疫)
  • 甲状腺機能亢進症(Hyperthyroidism (甲状腺機能亢進症)
  • 筋ジストロフィー
  • 精子数および精子運動率の低下
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 疲労
  • 癌に由来する疲労(Cancer-Associated Fatigue;癌性疲労)
  • 慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome;慢性疲労症候群)
  • 未熟児における呼吸困難(Respiratory Distress in Premature Infants;未熟児呼吸窮迫症候群)
  • 減量(Weight Loss;体重減少)
  • 先天性アミノ酸代謝異常
  • 有機酸尿症
  • グルタル酸尿症
  • イソ吉草酸血症
  • プロピオン酸血症
  • メチルマロン酸血症

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